Audrey Tang Keynote in Plurality Tokyo
https://www.youtube.com/watch?v=JyAJrRFRCiA
動画キャプションの英語を元に翻訳しました
アイコンnishio.iconが行頭についているのは訳注です
(for nishio-en readers, you are seeing Japanese to English translation by machine of the English to Japanese translation by me )
Good local time everyone, I am Audrey Tang, Taiwan's digital minister.
皆さん、おはようございます、こんにちは、こんばんは。私はオードリー・タン、台湾のデジタル担当大臣です。 It is an honor to address you all today at Plurality Tokyo.
Before I dealt into my speech, allow me to share a poem that encapsulates our mission.
スピーチの前に、私たちのミッションを凝縮した詩を紹介させてください。
When we see "Internet of Things”, Let's make it an Internet of Beings.
When we see "virtual reality”, Let's make it a shared reality.
When we see "machine learning”, Let's make it collaborative learning.
When we see "user experience”, Let's make it about human experience.
And whenever we hear that a singularity is near, let's always remember the plurality is here.
nishio.icon「シンギュラリティ」(特異点)の「singular(単一)」に対して「プルーラリティ(plurality)」「plural(複数)」を対置している
In recent months, the rapid development of language models has heightened concerns about existential risks, raising questions about the looming singularity.
However, I am a firm believer that assistive intelligence has the potential to liberate our time for more meaningful pursuits.
しかし、私は"アシスタント人工知能"(assistive intelligence)が、私たちの時間をより有意義な目的を追求するために解放してくれると確信しています。 The crafting of this very speech was indeed aided by language models, demonstrating the the power of transformative technology, which will indelibly reshape human society, much like the Internet has done.
このスピーチの作成も、言語モデルによって助けられました。これが変革的技術の力です。そしてこの力は人間社会に不可逆な影響を与えるでしょう。インターネットがそうであったように。
With three-quarters of a century remaining in the 21st century, the first quarter centuries’ joint efforts have laid the groundwork for the digital world's fundamental structure.
21世紀の残り3/4に向けて、最初の四半世紀に行われた共同の努力によって、デジタル世界の基礎が築かれました。
We cannot overlook humanity's adaptability, as our present lives were also once beyond the imagination of those in the beginning of the 21st century.
人類の適応力を過小評価してはいけません。現在の私たちの生活も、21世紀初頭の人々には想像もつかないものなのですから。
As transformative technologies emerge, diverse communities generate unique usage patterns to fulfill distinct objectives.
変革的なテクノロジーが出現すると、多様なコミュニティは、それぞれの目的を達成するために、独自の使用パターンを生み出します。
While autocracies exploit technology as a means of control, we strive to democratize technology in pursuit of plurality or collaborative diversity.
nishio.icon「独裁」の「単一」である性質に対して「プルーラリティ」(多元性、複数性)を対置している
Guided by the spirit of plurality, democracies must go beyond devising protective measures, where envisioning a trajectory embraced in the triad of participation, progress and safety.
プルーラリティの精神に導かれ、民主主義国家は保護手段を考案するだけでなく、参加、進歩、安全の三位一体の軌道を構想しなければならない。
In a plural world, everyone can establish their digital spaces while collaboratively crafting interaction modes that accommodate all.
プルーラルな世界では、誰もが自分のデジタル空間を確立し、すべての人と協力して、それぞれの人を受け入れるインタラクション・モードを構築することができます。
All those communities may differ in norms and cultures. We can reveal shared values for shared reflection and deliberation, thus fostering an interoperable co-presence. これらのコミュニティは、規範や文化が異なるかもしれませんが、共通の価値観(shared values)を明らかにすることで、みんなで熟考・熟議(shared reflection and deliberation)を行い、相互運用可能なコプレゼンス(interoperable co-presence)を育てることができます。 nishio.iconコプレゼンスは「共にある」というニュアンスの言葉
This aspiration necessitates a robust digital infrastructure.
このような願いを実現するためには、強固なデジタルインフラが必要です。
The growth of Taiwan's internet and democracy has proceeded in tandem.
台湾のインターネットと民主主義は肩を並べて発展してきました。
Today, the Taiwanese people literally utilize the internet as a public forum for discourse, and the Taiwanese government staunchly upholds broadband as a human right, ensuring every citizen has sufficient bandwidth for live streaming, even atop Taiwan's highest peak, Mount Jade, thereby facilitating continuous dialogue and value exchange.
今日、台湾の人々はインターネットを文字通り「フォーラム」(公共広場、言論の場)として活用しており、台湾政府はブロードバンドを人権の不可分な要素とし、すべての国民がたとえ台湾の最高峰である玉山ででもライブストリーミングに十分な帯域幅を確保できるようにし、継続的な対話と価値交換を促している。 In normative mechanisms, such as quadratic voting in presidential hackathons, have enabled numerous co-creation initiatives, including the Water Refill Map app, which merges public water dispensers with eco-conscious tea shops to combat plastic waste.
台湾総統が主催するハッカソンにおけるQuadratic Votingなどの規範的メカニズムにより、多くの共創イニシアチブが実現されています。たとえば、プラスチック廃棄物対策として公共の給水器と環境意識の高い茶店を融合させた「Water Refill Map」アプリなど。 Other notable projects include a community-established CO2 uptake platform for carbon reduction, and LASS, a collaborative river-based management platform.
その他にも、二酸化炭素削減のためのコミュニティによるCO2吸収プラットフォームや、共同の河川管理プラットフォームLASSなど、注目すべきプロジェクトがあります。 While Web3 implementations often emphasize novel technological capabilities, our experience from five years of presidential hackathons revealed that the crux of success lies in prioritizing people and utilizing appropriate technology to foster seamless communication, consensus-building, and problem-solving.
Web3の実装では、しばしば斬新な技術的能力が強調されますが、5年間にわたる大統領ハッカソンの経験から、成功の鍵は、人々を優先し、適切な技術を活用して、円滑なコミュニケーション、合意形成、問題解決を促進することにあることがわかりました。
So today, it is heartening to witness the numerous Web3 events unfolding in Tokyo, such as Plurality Tokyo, ETH Global Tokyo, and DAO Tokyo.
ですから今日、東京で展開されるWeb3イベントの数々、例えば「Plurality Tokyo」「ETH Global Tokyo」「DAO Tokyo」などを目の当たりにして、胸が熱くなった。
Developers worldwide are collaborating now on decentralized technology, exemplifying plurality through distributed ledgers that empower everyone to co-create content within a shared commons.
世界中の開発者が今、分散型技術で協力しています。分散型台帳を通じて、プルーラリティを具現化しています。分散型台帳は誰もが共有された公共の場(shared commons)でコンテンツを共同で創造することを可能にする。
And to build upon these achievements and broaden the vision of plurality, we established the Ministry of Digital Affairs last August.
これらの成果を基に、プルーラリティのビジョンを拡大するために、私たちは昨年8月にデジタル省を設立しました。
Serving as the "MODA" or "motor" for Taiwan's digital transformation, we bridge civics and technologies, we strengthen industry and security in unison.
台湾のデジタルトランスフォーメーションの「MODA」または「モーター」として、私たちは市民とテクノロジーの橋渡しをし、産業とセキュリティを一体化させ強化します。
nishio.icon駆動装置としての「モーター」と、デジタル省(Ministry of Digital Affairs)の略語としての「MODA」が台湾では同じ発音なのです
Indeed, our ministry has a dedicated section in charge of Web3 infrastructure, with our initial focus on decentralized identities. By learning from DAO communities, we strive to construct bridges between traditional institutions and those that are emerging.
実際、本省にはWeb3インフラを担当する専門部署があり、まずは分散型IDに重点を置いています。DAOのコミュニティから学ぶことで、従来の組織・制度と新しい組織・制度との橋渡しをすることに努めています。
Earlier this year, we joined forces with a worldwide web consortium to develop verifiable credentials and decentralized identifiers. Through such frameworks, we can play a crucial role in confirming the authenticity of natural persons, legal entities, and novel organizational structures such as DAOs. As we look to the future, individuals utilizing decentralized apps on the decentralized web will possess the right to determine with whom they share their data.
将来的には、分散型ウェブ上で分散型アプリを利用する個人は、自分のデータを誰と共有するかを決定する権利を持つようになるでしょう。
We are unwavering in our commitment to collaborate with Web3 innovators on quadratic funding retroactive funding and social impact bonds.
Our pilots, those people of public-private partnerships, are well positioned to be disseminated across Japan and all democrats see as digital public goods.
私たちのパイロット、つまり公共・民間パートナーシップのみなさんは、これら(QFなど)を日本中に展開し、民主主義のみんながこれら(QFなど)をデジタル公共財だと見るようにすることが可能な立場にいる。
As we navigate uncharted waters of this century and beyond, I urge you to stand with Taiwan in the pursuit of plurality.
この世紀とその先の未知の海を航海するにあたって、私は皆さんに、台湾と共にプルーラリティを追求するようお願いします。
By harnessing our collective intelligence, creativity and resolve, we can drive genuine and enduring transformation.
私たちの知性、創造性、決意を結集することで、真の意味で永続的な変革を推進することができます。
Let us embark on this journey, united in our mission to show the world the unyielding spirit of democracy.
この旅に参加し、一致団結して世界に民主主義の不屈の精神を示す使命に取り組みましょう。
Thank you.
ありがとうございます。
Live long and prosper.
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翻訳に関する意見はPolisでも集めていますnishio.icon
このスピーチの作成も、言語モデルによって助けられました。これが変革的技術の力です。
この翻訳の作成も、言語モデルの力によって(DeepLとGPT4で翻訳した後、西尾が取捨選択する形で)助けられました。これが変革的技術の力です。
翻訳に関する議論
Our pilots, those people of public-private partnerships, are well positioned to be disseminated across Japan and all democrats see as digital public goods.
nishio.iconここの意味がわからない、原文あってる?
私たちのパイロットである官民パートナーシップの人々は、日本全国に普及させることができ、民主党はデジタル公共財と見なしています。
私たちのパイロットは、日本や民主主義国家のデジタル公共財として普及するうえで、公共・民間パートナーシップの最適な立場にあります。
@haradakiro: @nishio @hal_sk @0xtkgshn 「私たちのパイロットである官民パートナーシップの人たちは、日本じゅうに散らばっていますから、(それらのファンドを)普及するのに良いポジションにいます。 民主主義者にとってのデジタル公共財となるのです。」くらいですかね。原文のDは実際は小文字かと思います。
@LearningengAki: @nishio moda 公開の同ビデオにはmoda 作成字幕がありますので、不明部分については参考になさっていただけるとよいかと思います。PPPP については最近の動画でも頻繁に話されている内容です。 明日NishioさんのScrapbox の様子を見て再度必要に応じてご連絡いたします。
他のツイートで解決されていたら🙇
public–private–people partnership (P4) なるほど、元ネタの言葉があるのか
いや、それはここでは関係ないか?
→私たちのパイロット、つまり公共・民間パートナーシップのみなさんは、これら(QFなど)を日本中に展開することが可能な立場にいる。そしてみんな、これをデジタル公共財だと考えている。
目的語が長いために省略されているのが混乱を招いたと判断した
Our pilots are well positioned to be disseminated QF across Japan and all democrats see QF as digital public goods.
@hal_sk: @nishio @0xtkgshn ありがとうございます!現状のScrapboxの翻訳を、Youtube の字幕に反映させていただいて良いですか? @nishio: @hal_sk @0xtkgshn 現状で使って頂いてもいいのですが、いまGoogle Docsで修正提案をもらってて、出先なので確認反映できてない状態なんで、それの反映をしてからお伝えした方がいいかな?翻訳文のライセンスは後でCC0と宣言しておきます CC0と宣言します!
DM from @AkioHoshi
(1)ポエム翻訳については、オードリーとの共著がある近藤弥生子さんの許可をもらったので、書籍「まだ誰も見たことのない『未来』の話をしよう」掲載の下記のものを使えます。
運営にもフィードバック済みとのことなので、字幕への反映する時にどちらを使うかは運営判断に任せます
(2) 相互運用可能な共存→相互運用可能なコプレゼンス(共同思考の媒介)
# コプレゼンスは、文化人類学方面、あるいは情報学方面の専門用語なのでそのまま使いたい。
採用しました、かっこの中身はわかりやすくはないので改良の余地があると思います
一旦採用してたけどもやっぱりかっこがきはわかりにくいのでやめました
(3) みんなで内省と熟慮→ みんなで熟考と熟議
# 熟議民主主義の文脈では、deliberationの訳語は「熟議」 採用しました
(4) 台湾政府はブロードバンドを人権として堅持し
→ 台湾政府はブロードバンドを人権の不可分な一部として堅持し
# 星からのコメントですが、日本語の「人権」は複数形human rightsの訳語です。
国際人権法の定義では人権とは複数の権利が不可分な形で組み合わさったものです。
そこで単数形human rightは「人権の不可分な一部」と訳した方が正確といえます。
そうでないと、ブロードバンド=人権という誤読が出る可能性があります。
実際にはブロードバンド⊂人権 です。
主張に同意。表現は「ブロードバンドを人権の不可分な要素とし」にします
(5) 検証可能な資格証明と分散型ID→VC(検証可能な資格証明)とDID(分散型ID)
# 専門用語なので、VC、DIDと入れた方がむしろ分かりやすい。
「検証可能な資格証明(verifiable credential, VC)と分散型ID(decentralized identifiers, DID)」としました (6) 世界的なWebコンソーシアム→ World Wide Web Consortium (W3C)
# 専門用語&固有名詞なので。
僕も「そっちの意味なのでは?」と思ったものの裏どりできてなかったので放置してました。採用します。
もし具体的な協働プレスなどの情報を知ってる人がいたら教えてください
(7) プルーラリティ→プルーラリティ(複数性)
# 政治学や文化人類学では、Plurality =複数性、Pluralism =多元主義が定訳なので使った方がよいかなと。
訳注には入ってるので字幕をどうするかは運営にお任せします
(8)
and last, a collaborative river-based management platform.→ and LASS, a collaborative river-based management platform.
共同の河川管理プラットフォーム→共同の河川管理プラットフォームLASS
"LASS"は河川流域管理のための官民連携プラットフォームの固有名詞です。資料は乏しいのですが、modaの下記資料p.22に名前がでてきます。
(9)「MODA」または「モーター」として、→ 「moda」または「馬達(モーター)」として、
# ここは漢字を入れた方が分かりやすい。
disagree
理由: Wikipediaに同名のページがあるため
thanks @yuiseki_
@hal_sk: ちなみに、Presidential Hackathon は、台湾総統が主催するハッカソン、「総統杯」のことですね。最近キックオフしたばかりで、インターナショナルトラックもあります! 訳注に入れました